サラリーマンうつ病体験談 番外編③うつ病から転職するということ

うつ病体験談番外編

Google Searchの検索結果を見ると、「うつ病 転職」、「転職 うまくいかない うつ病」、「転職 うつ病 隠す」という複数のキーワードからこちらのサイトに入ってきてると思います。おそらく思うように転職活動もうまく行かず、連敗続き。その理由もうつ病にあるので、面接でオープンにするのかということでも迷いがあるのだと想像されます。

うつ病というバックボーンがありながら転職するというのは非常に難しく、またリスキーでもあります。私はとある大企業で中途採用の仕事をしているのですが、企業側がどう考えているか、ドライな事実、敵は何を考えているのかそれを知ることだと思います。そこからどうするべきなのか考えてみたいと思います。

企業の合理性について

企業活動はすべて経済的な合理性のもとに活動されています。営業などいった売り上げに関するものだけでなく、会社のコストに関するもの、採用活動についても経済的合理性がもちろん裏にあります。企業として採用活動で大事なことは最小限のコストで、最大限良い人材を獲得する、ということに尽きます。

採用は非常にコストがかかる企業活動です。一番効率の良い採用プロセスを取る、というのは企業としては合理的な進め方です。採用には色々なコストがかかってきます。面接官の労働コスト、人事などの管理コスト、エージェントへの支払い(年収の3割くらいもっていかれます)、広告費など多岐にわたります。採用についても企業活動の一環ですから、最大限の効率化、最小限の費用をベースに行われます。

採用でわかりやすく人件費がかかる活動は採用面談です。一人当たり60分が面談の時間だとしても、面接官の調整、事前のレジュメ確認など実際の面談時間の倍以上は時間がかかるものです。また複数の採用段階があるのが一般的なので、それに応じた人件費がかかります。面接官はただでさえも忙しい管理職が担当し、人件費のコストもそれだけかかってきます。ですので、採用面談に進む前に書類でかなりの数を落とすことになります。その方が採用コスト全体として見たときに合理的だからです。

昨今の転職市場については、売り手市場と言われる状況ですが、採用側としては魅力的な人と仕事をしたい、と当然思います。その人はやる気に満ち溢れているか。スキル・専門性を有しているか。会社に貢献してくれそうか。健康的に問題はなさそうか。面接を通じて、その人を深く知ろうと思います。

よく、面接はお互いを知ること、面接をされる側も会社を知る機会、と言われますが、合格に値する人がこのステージに立てるのであって、そうでなければ悪い印象を会社に持たれないように受け答えをする、にとどまります。不合格の方に対しても、良い印象を持ってもらえるよう、会社に対する質問に対しては誠意をもって答えますし、あまりに合格ラインに達していない人でも面接時間は最後まで使い切ります。悪い印象を持たれないよう、途中で時間を打ち切る、なんていうことは絶対にしません。面接の最後には会社紹介の冊子でもお渡しして、会社の外まで見送りに行きます。ああこの会社で働いてみたいな、と思わせようとします。合格の場合にはその場で合否を伝えますが、不合格の場合は別途連絡する、という形をとることが多いです。ドライですが、事実です。

書類選考で何を見ているか

履歴書、職務経歴書を見れば、その人の過去の仕事の取組みなどが見えてきます。採用側もプロですから、この人はなんとなく危ない、ということは一瞬で見抜いてしまいます。逆も然りで、魅力的な人も一瞬でわかります。書類選考は非常に多くのボリュームを捌く必要がありますから、書類を送付されてきた人間に対してすべて会うことはできません。ピンとくる魅力的な人にあってみたい、と思うはずです。その会社で「長く」働けそう、一緒に働いている姿が想像できる、そういう人をスクリーニングする技術に秀でています。

何を見ているか、というとまず職歴のつながりを見ます。穴(=休職歴)が空いていないか。転職を複数しているのであれば、つながりがあるのか。これがベースとなって、スキルを裏打ちする経歴があるのか確認し、その経歴と志望理由の一貫性を見ます。

私は中途採用一次の面接官をしていますが、面接の合格率はおおよそ2割程度です。うち半分は実績・スキル不足。年齢なども加味し、会社で働いてパフォーマンスが出るイメージがわかないケース。あとの半分は、転職の契機、実績、志望理由の一貫性の無さです。後者は準備不足と考えられます。失礼ながらお互いに時間の無駄になるので、準備は納得のいくところまでやってほしいと思います。

なぜ休職歴がある人を避けるのか

採用した人がまたすぐに体調を壊して休職するなどしたら、会社側としてはリスクになります。上記の通り採用もコストがかかるものであり、採用される人間も戦力となることを期待して入社のオファーを出すわけです。

それゆえに、応募者の休職理由はきちんと確認し、直近の出来事であれば尚更丁寧に確認することになります。私の会社では、休職歴や経歴に穴が空いている場合はチェックされます。休職理由を確認して、もし休職があればその内容を記載するような管理欄さえあります。

事実、私の会社では、うつ病だということを隠して入社される方がかなりの数でいます。こうした方は、入社後しばらくして体調を崩して休職されています。そのため、職務経歴を厳しく見る指導が社内でも強く言われています。

中途入社とは何か、転職して何をやりたいか、何ができるか

未経験な方を募集する業務は別として、中途入社に求められることというのは、即戦力です。新人のように一から教育するのではなく、すでにスキルを有した方に入社していただき、早期にパフォーマンスを出してほしい。

会社側は、志望者の年齢を確認し、同じような年代の社内の人間と比べ、そのレベルの人間と同じようなパフォーマンスを出せそうか、書類・面接の中で過去の実績から確認することになります。 会社に入ってもらって、現在のスキルから何ができそうか、逆に何が課題となりそうなのか。前職とは異なる職種での転職を希望されるケースでは、私も面接官をしている場合にはよく聞く内容です。

前職で何か嫌な出来事があって、別の仕事を探す。その仕事の探し方として、ご自身のキャリアの延長線上となっている仕事となっているでしょうか。仕事なので、やりたいこと=言い換えるとやりたくないこと、と、やれること、というのは全くの別物です。

これが理解できていなくて面接で不合格となる方が非常に多いです。リアルに面接でこの業界、この仕事に興味があるから志望しています、と答える方がとても多く感じてます。即戦力を求めたい中途入社のケースでは興味があるだけだと、採用は難しいです(すくなくとも私の会社では)。 過去の経歴からどういうスキルをもとに会社に貢献していきたいのか明確になっていない。また、志望の理由もこの分野に興味がある、といった内容での返答の方が多いです。

別の職種を希望しているケースにおいて転職活動がうまく行かないということについては、ひょっとすると、ご自身でやれること、ということを見極めて、自分のハードルを下げる必要もあるのかもしれません。

うつ病からの転職をどう考えるか

転職活動も思うように進まないと、たくさんの企業に応募して、数打ちゃ当たる、という考えになるかもしれません。確かにたくさん応募すれば合格する可能性は高くなるかもしれません。が、逆にそういう企業がなぜ採用しようとするのか、よく考えた方が良いと思います。「うつ」ということを見抜けない面接官の力量が低いのか、「うつ」であっても採用してダメだったらその時に考えればいいと考えているのか。もしくは、「うつ」という状態であっても、本当にちゃんとできる仕事を提供できるように考えられているのか。おおよそ、このどれかだと思います。

私個人の経験としても、うつ状態からの転職は無理でした。自己自慢で恐縮ですがスキルは高いと認識してますが、病歴からどこの企業にも採用されませんでした。結果的に転職せずに同じ会社にとどまって体調を戻すことに専念。体調が戻ってからは元通り以上にパフォーマンスを発揮することができています。また、転職をすることは環境をがらりと変えてしまうことになり、大きなストレス要因で体調を崩すきっかけとなる可能性が非常に高いです。仕事を変えることで逆にどん底に陥ってしまうケースも見受けられます。どんな仕事も、仕事は大変です。私はうつ病を抱えつつ転職する、というのはお勧めはしません。

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